厚労省の調査(平成28年度)によると、パワハラの予防・解決に向けた取り組みをしている企業は52・2%(4587社中)でした。
1000人以上の大企業は88・4%が実施しているのに対して、99人以下の企業では26・0%しか実施していないと回答しています。
さらに、どの企業においても4月までにパワハラ防止策に取り組む必要があることを正確に把握している事業者は、ごく僅かとの調査結果もあります。
実際に、私もパワハラについて
何をどう対策する必要があるのか、
何がパワハラに該当するのか、
正確に把握していませんでした。
長時間にわたる厳しい叱責や暴言
殴打やものを投げつけるなどの暴行
これらの内容がパワハラ該当するのは分かると思います。
それ以外のケースはどんなケースなのか?
いきなり言われても、すぐに出てこないと思います。
また、何がパワハラに該当するのかきちんと定義しておかなければ、後から揉めることも想定されます。
職場におけるパワーハラスメントの定義
職場で行われる、以下の①~③の要素を
全てを満たす行為がパワハラとなります。
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③ 労働者の就業環境が害されるもの
※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる「適正な業務指示や指導」は、該当しません。
代表的な言動の類型も明確にされています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000855268.pdf
1 身体的な攻撃(暴行・傷害)
→殴打、足蹴りを行う。
→相手に物を投げつける。
2 精神的な攻撃
(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
→人格を否定するような言動を行う。
→業務の遂行に必要な以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う。
3 人間関係からの切り離し
(隔離・仲間外し・無視)
→1人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる。
4 過大な要求
(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
→新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する。
5 過小な要求
(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
→管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。
→気に入らない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えない。
6 個の侵害
(私的なことに過度に立ち入ること)
→労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する。
個別の事案について、パワハラに該当するのかの判断は、当該言動の目的、言動が行われた経緯や状況等、様々な要素を総合的に考慮することが求められます。
その対応窓口を必ず設置する必要があります。
職場におけるパワハラの防止のための対策
※4月から以下の以下の措置を必ず講じなければなりません(義務)。
義務を怠った場合には企業名が公表されます。
企業が必ず取り組む内容は、一般的には、研修の実施、相談窓口の設置、社内規定の作成の3本柱となりますが、措置としては以下になります。
①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
事業主は、職場におけるパワーハラスメントに関する方針の明確化、労働者に対するその方針の周知・啓発を行う。
②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
事業主は、労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制を整備して、相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。
③職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
事業主は、職場におけるパワーハラスメントに係る相談の申出があった場合において、その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認及び適正な対処を行い、再発防止に向けた措置を講ずること。
よく言われることですが、相談者や行為者のプライバシーの保護や相談を行ったことでの不利益や解雇は法律で禁止されています。
一番、研修を受けなければならないは、昭和の感覚のままの「社長や役員」です…なんて声が聞こえてきそうです。
それでもアフターコロナにむけて、必ずパワハラ防止策を取る必要があります。
4月まで時間があるようで、有りません。しっかり対策の準備を進めてください。
笑顔創造研究所は、みなさまの笑顔を応援しています。