プレゼンディーイズムに気づく

あるお店で買い物していた時に、レジの方が椅子に座りながらレジをしていました。

 

座ると言うよりも、何かに腰かけているという感じで、ぱっと見では、きちんと背筋が伸びていてるので、座っているとは感じないほどです。

 

もし、このレジ椅子がなかったら、長時間の立ち仕事で足腰を痛めるキツイ仕事となることろでした。

 

もちろん、勤務先で改善して欲しいと要望を訴えても、なかなか改善してもらえなかったことでしょう…


立って接客やレジ打ちをすることが慣例となっているのを改めるには人手不足という大きな問題がないと着手されないままでした。

 

接客業に「座る」という選択肢が生まれることで、体の不自由な方や体力に不安のある方、シニア層など様々な人が働ける切っ掛けとなりました。

 

さて…

 

体調不良や精神的な問題を抱えながらも出勤し、労働生産性が低下している状態のことをプレゼンティーイズムと言います。

先ほどのレジの仕事の場合なら、長時間の立ち仕事で足腰を痛める等で体調がすぐれずに、サービス品質が落ちる現象のことです。

 

近年、労働者の健康問題が企業の生産性に与える影響が注目されるようになりました。

その中でも、特に見過ごされがちなのが「プレゼンティーイズム」です。

 

プレゼンティーイズムは、病気や怪我による欠勤よりも「深刻な問題」であると言われています。

なぜなら、プレゼンティーイズムは目に見えにくく、企業側が問題を認識しにくいからです。

 

また、労働者である自分自身も体調不良を我慢して出勤しているため、問題が深刻化するまで廻りが気づかないことが多いのです。

経済的な不安や人手不足が要因

多くの従業員は、休むことで収入が減ることを恐れて出勤し続けます。

特にパート・アルバイトの方は病気で休むことによって生活費を賄えなくなる恐れがあり、体調が優れなくても出勤せざる得ない状況に追い込まれることが多々あります。

(腰痛や頭痛など、我慢しながら業務をすることになります)

 

その結果、体調がさらに悪化して長期間の休職に繋がります。

 

また人員が不足している職場では、休むことで同僚に負担がかかることを懸念して出勤し続けるケースがあります。

このような場合、責任感から体調不良を抱えながらも業務をこなそうとしますが、ストレスを貯めこんでしまい、メンタル不調に陥ってしまうケースが出てきます。

 

いずれにしても、体調不良を我慢して出勤しているため、気づいた頃には症状が深刻化しています。

自己管理だけでは何ともならない

昭和の時代なら、体調不良は自己管理ができていないとレッテルを貼らました。

しかし、令和の時代では、ハラスメントの認識が定着し、健康を重視する風土を醸成することが当たり前になってきています。

 

※レジの方が椅子に座りながら業務をするのも一例です。

 

暑くて当たり前だった厨房にエアコンを入れて熱中症を防止することも、

オフィスや作業場に適切な休憩スペースを確保することも、

足元が冷えないように、コンクリートの床からゴム素材に変えるのも、

すべて労働環境の改善によって、従業員の健康を保つことに繋がります。

 

「ここで働きたい」と思ってもらえるような仕組み・仕掛けがないと、これからの時代に取り残されてしまいます。

どのように健康を重視する風土を醸成していくのか、経営者・役員などのトップの意識にかかってきます。

先ずは、手に届くことから始める

大手の会社ならば、体調不良に対してケアする窓口があるでしょうが、中小企業ではそこまで手が回らないことだと思います。

いきなり、福利厚生の充実や柔軟な働き方の導入を進めるのではなく、先ずは、手に届くことから始めていきましょう。

 

例えば、立ち仕事が続き、足腰に問題を抱えている人がどれくらいいるのか、ヒヤリングなどで把握することろから

着手してみしょう。

どのように対策すれば、働きやすさが上がるのか、明確に問題が顕在化できます。

 

もしくは、歯医者にかかっている方がどれくらいいるのか調査することでもいいです。

歯科治療によって痛みや不快感が軽減されると、集中力や注意力が向上し、業務効率が改善されます。

また思うように治療を受けないことで全身疾患のリスクが増加し、全身の健康状態の悪化の要因となることがデータとして分かっています。

 

歯科治療を防ぐために、お金をかけず昼食後に「歯をみがく」だけでもずいぶんと予防医療を実施することになる訳です。

 

プレゼンティーイズムは、労働者と企業双方にとって大きな損失をもたらす問題です。

企業は労働者の健康管理を徹底し、労働者は自身の健康に気を配ることで、プレゼンティーイズムを改善し、生産性を向上させていきましょう。

 

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