今年の8月の中央最低賃金審議会において、2022年度の最低賃金の大幅な引き上げが決まりました。
政府は「新しい資本主義」の実現に向けた工程表の案で、全国平均で時給1000円以上になることを目指すとしています。
今回の最低賃金の引き上げによって、全国平均の時給が960円になりました。
あと2年ぐらいは、25円の時給アップを続けていく可能性があります。
今後の最低賃金引き上げに向けて、しっかり対策を取っていかなければ人材流出の懸念が出てきます。
また…
最低賃金があがることで、パート・アルバイトの方の手取りが増えるメリットがありますが、
扶養の範囲内で働きたい方の労働時間を調整しなくてはならないデメリットも考える必要が出てきます。
〇正規雇用者の最低賃金の確認
〇就業規則・賃金規定の見直し
〇新たな社会保険加入者のチェック
以上のような内容は、社会保険労務士の先生に相談していただき、会社として、対策すべき内容について考えてみたいと思います。
正規雇用者の不満・不安の解消
今年の最低賃金の引き上げにあたって、新型コロナや物価上昇の影響が大きいとされています。
この影響は、パート・アルバイトだけでなく、当然のように正規雇用者にも当てはまります。
このような状況下で、
・パート・アルバイトだけが手取りが増えてなぜ正規雇用は増えないのか?
・パート・アルバイトの労働時間の短縮のしわ寄せが正規雇用にくるではないか?
といった不満や不安がくすぶっています。
物価高騰により利益率が下がっている業種では、高い時給を提示できずに、人材確保が進まない悪循環に陥っています。
さらに最低賃金の引き上げが重なると、サービス残業で対処するかもしれないと労働意欲が低下している事業者もあります。
職場の不満・不安を解消すべく、最低賃金の引き上げにあたっての考えを早期に表明すると共に、従業員 個々への面談を実施することを強くお勧めいたします。
よく言われていることで
デジタル技術の活用などで
製品やサービスの付加価値を高め、
生産性を改善して収益力を高める
とありますが、
何をデジタル化すべきか計画・実行できている事業者が少ないのではないでしょうか?
従業員 個々への面談が、何が面倒な作業なのか、二度手間なのか明確にする機会だと捉えて欲しいです。
ハローワーク求人の見直し
今でもハローワークで求人を行っている事業者がほとんどだと思います。
ところで、ハローワークの求人票の内容を改めて確認したことは有るでしょうか…?
掲載期間が終わったので、前回同様の内容で再び掲載するような事になっていると思います。
この機会に、今 求人募集を出している他社の内容をよく観察して欲しいです。
一般的には
時給〇〇円~〇〇円 と記載すると思います。
あくまで記載例ですが
時給960円~995円 と記載とします。
このような記載内容では、ハローワークの検索機では表示されません。
なぜなら、選択画面に入力する際に多くの方が「時給1000円以上」と入力するからです。
今回改めて、他社の記載内容を確認したことろ時給〇円~1150円 のような記載パターンが多く見られました。
もし、この記載を真似しようとなると、既に働いているパート・アルバイトの方から誰が1150円かと苦情がでる懸念があります。
(新規募集の表記に対する苦情という意味です)
これらの内容だけでなく、学校行事に対する配慮や、育成方法など今の求人の見直しをしてみてください。
可能であれば、実際にハローワークで検索機を操作してみて欲しいです。
新事業のプロジェクトの立ち上げ
笑い話しのような「本当の話し」で、
「従業員の人員不足により、しばらくの間セルフレジは封鎖いたします」
と、案内を出したスーパーがありました。
人手不足のためにセルフレジを導入したはずでは…?
と、誰もが疑問にもった事だと思います。
その店舗は、高齢者が多い地域で、万引き防止や操作説明のために、4人態勢でセルフレジを案内していたそうです。
今後のサービス提供のあり方について、考えさせられる事例となりました。
さて、振り返って自分自身の事業ではどうでしょうか?
このまま続けていても、値上げはできない、原材料や燃料費の高騰で何ともならない と、打開策を模索していると思います。
ならば、思い切って「新事業」について検討してみてはいかがでしょうか?
実際に着手するのもいいですが、何をやったら自社にとって有効なのか計画を策定することが重要です。
自社で有効活用できるのは人なのか、設備なのか、製造方法なのか。
何が求められるのか、深く考える事こそ今 重要なことだと思います。
最低賃金の引き上げは、未だ続きます。
最低賃金の引き上げをカバーできる新事業に着手していき、安定した経営へと舵を切っていきましょう。
笑顔創造研究所は、みなさまの笑顔を応援しています。